2009年01月12日

【08インカレ】決勝戦/筑波大−中央大 監督・選手コメント

第57回全日本大学サッカー選手権大会 決勝戦・筑波大−中央大の監督・選手コメントです。
−Voice 筑波大学・風間八宏監督
 負けたのは残念だが、一人一人が努力してトレーニングしてきた結果なので、受け入れる。いい試合ができて、中央大には感謝している。
 このチームは昨年ギリギリで入れ替えを免れた、ずっと負け続けてきたチームだが、そのメンタルの改革ができたと思う。弱かった体も強くなり、戦うサッカー選手になった。厳しい試合が続いた大会をここまで戦い、今日も最後までがんばれたのは選手の成長の結果だろう。
今日の試合、攻撃が中央に片寄りすぎと言われたが、うちは外を攻める気はない。外はあいているもの。中央から崩せないのは、ペナルティエリアの中に入っていくための技術や力が足りないだけ。うちが目指しているのはスペースを探さず人を崩すサッカー。個々の力で中を崩せなければこの先は意味がない。
 なので、試合に入ってから、チームとして戦術をどうこうすることはない。選手個人にアドバイスをするだけで、戦術の修正などはしていない。戦術がどうこうより、個人の足元の技術がすべての基本なので、ずっと追求していかなくてはならないと考えている。

−Voice 筑波大学・野本泰崇(DF・主将)
 2−1の負けはメンタルではなく、技術的なミスの結果だと思う。DFとしては、先に失点しないよう我慢すること、そこからチャンスを作る方法を考えていたが、チーム全体として気持はかなり入っていたのに、それがうまくゴールに結びつかなかった。相手がうちの2トップへの対策をしてくるのはわかっているんだから、それを崩せなかったのは、ぼくたちの力不足。監督がずっと言ってきたように、もっとうまくならなきゃいけなかった。
 ボランチの永芳を前線近くに上げるパワープレイは、準決勝ではうまくいったが、今日は放り込むだけではね返されてしまったのが残念。最後だからこそ、筑波らしく丁寧につないで攻める形を貫き通したかった。
 去年から試合に出られない期間が続いて、口惜しかったし、チームにも申し訳なくて、自分なりに努力した。4年間の最後にこのピッチに立てたことは、素直に喜びたいと思う。
 卒業後FC岐阜でプロとしてやっていくことになるが、プロは厳しいところだと自分なりに知っている。気持のこもったプレイ、長短蹴り分けるキックなど、自分の持ち味を前面に出して、ゼロから新たなスタートを切りたい。

−Voice 筑波大学・西川優大(FW)
 監督に「インカレの決勝まで来るなんて考えもしなかった」と言われた。たぶん、「よくここまで来たな」ってことなんだと思う。
 今年、前期はまだふらふらしていたけど、後期になって、チームができあがっていく、強くなっていく手応えをすごく感じた。前期は走り負けていたし、負けるのを怖がっていたけど、夏にすごくいいトレーニングができて、フィジカルにも精神的にも強くなったと思う。チーム全体が勝つことに貪欲になった。監督の言う「勝者のメンタリティ」に、少しは近づけたのかな。
 自分個人のことで言えば、一番成長したのは、点を取る方法が少しわかってきたこと。まず、うまくボールを止められるようになってシュートが打ちやすくなって、シュート練習でどこにどう打てば決まるか感覚的にわかってきたように思う。ポジショニングも、DFを外してもパサーから見えない位置じゃしょうがない、そういうことを考えるようになった。リーグで点が取れるようになってから、シュートを焦ることもなくなったし。
 自分はサッカー推薦ではなく一般入試で筑波に入って、4年間楽しくサッカーできればいいやと思ってやってきた人間。けれど、上に行きたいという強い気持があって、自分から努力して自分を高めていけば、こんな人間でもプロに声をかけてもらえるようになれる。
 筑波はつなぐサッカーが定着しつつあって、質の高いチームになってきた。来年以降もそれを高めていってほしい。

−Voice 筑波大学・木島 悠(FW)
 国立の雰囲気に呑まれたというようなことはない。どの試合も関係ないと監督からいつも言われてきたし、プレッシャーとかはないと思っている。
 中央大は相性の悪い相手だが、関係ないと思って新たな気持で試合にんだのに、勝ちたい気持が足りなかったということだろう。
 点が取れなかったこと、攻めたのに決め切れなかったことがすごく口惜しい。自分たち一人一人のミスがすべてに影響して、ボールを前に運べなかった。準決勝でもそういうことがあって反省点だったのに、修正しきれなかったのがくやしくてたまらない。
 ただ、今日国立を経験できたのはうちと中央大の2チームだけ。成長のためのアドバンテージをもらったと思っている。来期、このくやしさを生かして、筑波のサッカーを全国に知らせていきたい。

−Voice 中央大学・佐藤 健監督
 試合が終わった瞬間は勝ったという感じだったが、時間がだんだん経ってみると、実感がない。筑波大はうちと同じようにパスをつないで、人とボールが動くサッカーをしているが、あのサッカーをきちっと受けて勝ったことに価値がある。今日は筑波大の2トップへのボールを封じることにポイントを置いていた。2トップをマークする選手がボールをインターセプトしたり、裏に出る選手のコースを読んでコースに入ったりということができたと思う。また、ボランチにはくさびに入るボールのコースを読んでいくことが大事だと話していた。後半の半ば過ぎからは筑波大に押されたが、前半からハードワークで飛ばしていけば終盤にはプレスがかけられなくなって、そうなることは試合前からわかっていた。だから、選手には「その状況でどれだけ冷静にやれるかが大事だ。その状況を楽しんでこい」と言っていた。
 (GK小野博信、DFの山形雄介と山田佑介、MF永木亮太のレギュラー選手が出場停止だったが)うちは、Aチームに25、26人の選手を置いて、練習試合では選手を入れ替えてやっているため、スタメンの変更はそれほど問題ないと思っていた。公式戦に慣れているかどうかの問題はあったが、昨日の練習では長めの紅白戦をやって、本番の決勝という舞台でどうやれるか、プラスアルファの力が出てくるかというところだった。試合では足をつった選手もいたが、それは頑張った結果だと思う。
 (決勝ゴールの)櫛引祐輔はハードワークができる選手ということで、佐藤謙介のスタメン起用も考えたが、(佐藤監督が指導できない平日も)Aチームを見ている白須真介コーチの意見もあって櫛引をスタメンにした。キャプテンの山形はチームの精神的支柱で、今日はみんなよりも早めにスタジアムに入って荷物を運んだり、可能な限り選手を叱咤激励したりして、いろいろな面で陰の力になっていた。試合に出た選手はそれを考えてプレーしたのではないかと思う。個人的には、自分が選手として優勝した時(第29回大会)は(筑波大の風間八宏監督が選手として出場していた)筑波大と両校優勝だったので、その決着をつけられたという気がする。やはり試合には勝つ気持ちを持って入るのが大事。だからこそ選手には「タイトルを獲れ」と言ってきたが、選手はそれをわかってくれたと思う。これからは選手個々のレベルを上げていかないといけない。

−Voice 中央大学・櫛引祐輔(MF)
 いつもボランチでプレーしているわけではないけど、今回はボランチの選手が出場停止ということでボランチに入った。スタメンを伝えられた時は緊張感やプレッシャーがあって「どうしよう」と思ったけど、スタメンでもやれる自信はあったし、とにかくガムシャラにやろうと思っていた。自分は球際の強さでは負けないという気持ちがあったので、そこを出していこうと考えてプレーした。試合に出られない選手の分までという思いがあったので、ゴールを決められたことは大きかったし、それが逆転ゴールだったので本当によかった。試合が終わって、今はもちろん嬉しい気持ちもあるけど、反省の気持ちもある。1試合、1試合が大事な経験だと思うので。佐藤監督の言うことを聞いていれば間違いないと思うし、すごく自分の役に立っている。今シーズンは、チームとして目指してきたサッカーが、日々の厳しい練習の積み重ねによって、誰が試合に出ても、相手がどこでもできるようになってきたことが大きいし、インカレの優勝につながったと思う。

−Voice 中央大学・南木 享(MF)
 今日の試合はとにかくセカンドボールを拾おうということでプレーした。セカンドボールを拾えば相手は苦しくなるので、それを徹底してやろうとした。ただ、個人的にはあまり動けなくて、出来はよくなかった。今日はレギュラー選手4人が出られなかったけど、サブに控えている選手もいいものを持っている。みんなで一つになってやろうという気持ちが強かった。そういう部分が中央らしさだと思う。今日はPKの場面が一番危なかったと思う。それから、ロスタイムの筑波大の猛攻をしのいだのが大きかった。後半の最後のほうは(筑波大のDF)野本(泰崇)が前に上がってきけど、「なんで今、上がってくるんだよ」と思った(苦笑)。
 今日の試合ではメンタルが重要だと思った。試合に勝つことによって、勝つチームはメンタルが違うと感じた。インカレで優勝したことで、中央大は追われる立場になったけど、負けないチームになってほしい。

 <コメント取材協力(敬称略)>
  後藤朝子(筑波大学)
  赤沼圭子(中央大学)
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