2010年01月11日

【09インカレ】決勝戦/明治大−福岡大 監督コメント

第58回全日本大学サッカー選手権大会 決勝戦・明治大−福岡大の監督コメントです。
−Voice 明治大学・神川明彦監督
 「まずこの場所までくるにあたって、明治大関係者、大会を開催・運営してくれている学連の学生スタッフみんな、大人のスタッフ、後援各社の支えが無ければこういった立派な大会は開催できなかったし、国立競技場という素晴らしい舞台でプレーすることはできなかったと思います。そうしたすべての方に感謝をしたいと思います。ありがとうございました。
 我々はインカレ前には、サッカー雑誌、新聞等でもまったく優勝候補にはあがりませんでした。総理大臣杯優勝・九州リーグ優勝、そしてJにも勝ってガンバ大阪と接戦を演じた福岡大学が優勝候補筆頭で、その対抗馬として流通経済大、関西大等があげられていました。それは当然のことだと思います。ただ逆に、我々にはリーグ戦を3位で終えたというくやしさもありましたし、天皇杯の両立との中で自分たちの力の足りなさを思い知らされた部分もありました。幸いだったのは、インカレまでに3週間の準備期間があったことです。そこで我々は、それまで足りなかったディフェンスをもう一度見直してこの大会に臨みました。
 今日の決勝では、福岡大は永井(謙佑)くんがいないということでしたので、18番の清武(功暉)くんや9番の高橋(祐太郎)くんが出てくることを想定して、この1週間準備を重ねてきました。そういった中で、福岡大の攻撃を1点に抑えることができた。これが今日の勝因かと思います。いろいろな事情があってこういう決勝になりましたが、我々としては、持てる力をすべて出して、63名の部員全員で勝ち取った優勝だと思っています。今年のこの経験を生かして2010年シーズンをいい形で迎え、また来年明治らしいサッカーを魅せられるように準備をしていきたいと思っています。
 また大学サッカーの中でのせめぎあいがなければ、ウチが天皇杯でJクラブに勝つことはできませんでしたし、インカレ決勝にくるまでにPK戦で勝ち上がってきたことからもわかるように、大学サッカーはどこが勝ってもおかしくない状態です。お互いに、質の高いサッカーを繰り広げる中で、Jに勝ったり、Jにいい選手を輩出したり、A代表に人を送れているのだと思います。この場をぜひ借りてメディアの方には、大学サッカーをいい位置で取り扱っていただきたいと思います。今日、新聞を見たら全部高校サッカーの話題だったのですが、これは正直くやしいですね。(A代表に選出された福岡大の)永井くん、(流経大の)山村(和也)くんはもちろん素晴らしい選手ですが、比嘉くん(祐介・流経大・U-20代表)、河井くん(陽介・慶應大・U-20代表)といったすごい選手もたくさんいるので、メディアの方にはぜひ今後とも、大学サッカーのことを取り上げていただけるよう、よろしくお願いいたします。」

Q.試合前に相手をどのように分析し、どのようなプランを考えましたか?
 「福岡大対策としては、9番の高橋選手がスタメンでくると思っていましたので、その高さを活かした攻撃をどう抑えるかという点がありました。また、そこにボールがしっかり収まったときの、30番岸田(翔平)くんと20番市川(稔)くんのスピード、14番・藤田(直之)くんの攻撃センスをどう抑えるか。結局彼には1点を取られてしまいましたが……。あとは7番末吉(隼也)くんの展開力ですね。彼にサイドチェンジの展開を気持ちよくやらせないように、ということを頭に入れてディフェンスを構築しました。攻撃に関してはいつもどおりやるだけだったので、特別に何かをしたということはありません。」

Q.今日はDFふたりが出場停止でしたし、1回戦から怪我人が相次いでいる状態だったので、メンバーのやりくりに苦労されたのでは?
 「確かに、インカレに入る前に山田(大記)や久保(裕一)が怪我をしまして、傍目には十分ではないメンバーで戦っていたように見えたかもしれません。ですが我々は1年間を通じて、常にチーム内で競争をしながらやってきましたので、誰がいないから力を発揮できないというようなチーム作りはしていません。今日出場停止だった鹿野(崇史)と奥田(大二郎)というDFふたりは、インカレに入ってからは調子がよかったのですが、彼らが今シーズンずっとサイドバックのレギュラーで出ていたかというとそんなことはありません。丸山(祐市)や笛田(祥平)という選手が出たり、これまでもその都度調子のいい選手を使いながら戦ってきました。ですから今日、日野(竜一)を右SB、左SBに(田中)政勝を使うということに対しての違和感はなかったし、彼らのこの1週間のコンディションを見る限り十分やれるという判断を下しました。そういう意味では、いい準備をしている選手がちゃんと試合に出られたと思います。」

Q.MVPを獲得した小林裕紀選手に対する評価は?
 「彼は終了間際にペナルティエリアに侵入した際、倒れましたよね。あのプレーは絶対にあってはならないプレーだったと思います。天皇杯の決勝ではガンバ大阪の明神選手が、タッチライン際で深いタックルを受けながらも倒れずに、そのままドリブルで持ち出して二川選手の3点目を演出した。ああいうプレーを見習うべきで、今日試合で彼はあそこで倒れるべきではありませんでした。ですからMVPを獲得しましたが、僕自身はあの部分に不足を感じています。逆に、それ以外のプレーは本当に素晴らしかったと思う。彼は(MVPを獲得して)これからコンスタントにあれだけのプレーをしてみせる必要があると思います。まだまだ波があります。」

Q.大会を通じて2失点と守備がよかったように思えますが、チーム内の競争以外に具体的に何か大きく向上した部分はありますか?
 「ウチはサイドバックがサイドにプレッシャーをかけるときに、どうしても後ろにスペースをあけてしまうという傾向がありました。真面目すぎるのか、ボールに対してくらいつきすぎて、結果、戦略的に作られたスペースを使われて崩されてしまう。それがリーグ戦を終えて出てきた分析結果だったので、インカレではサイドバックはあまりスペースを空けさせないよう、サイドハーフを上手に使いながら、常に4人のDFがスペースを埋める感覚を作ろうと言いました。
 それと、これは準々決勝の鹿屋体大戦の後半からうまくいったことなのですが、ラインを高くあげて常にコンパクトな状態をキープする。常にグループで守るという状況を作り出すとことをやり続けた。今日の試合でもそれができたということがよかったのだと思います。
 あともう1点は、FWに献身的なディフェンスを要求したこと。今日の久保や山本も含めて、本当によくディフェンスをするようになった。それがこの大会、本当に失点が少なかった要因だと思います。」

Q.今大会、51大会ぶりという久しぶりの優勝をはたしました。また一昨年には関東リーグで優勝もしています。長い間大きなタイトルに縁がなかったのに、このポジションまでこられるようになったのはなぜですか?
 「僕自身は2004年にコーチから監督になりましたが、その時点で明治大はまだ関東リーグ2部所属でした。その後の6年間の中で大きく変わった点がふたつあります。まずひとつがハード面の充実です。2006年3月にグラウンドが人工芝になり、寮とトレーニングルームとトランクと人工芝のグラウンドがちょうど一直線につながるような動線ができて、そこで質の高いトレーニングができるようになりました。2点目がソフト面の充実で、2004年から東京ヴェルディさんと業務提携をいたしまして、コーチ派遣をしてもらっています。2004年から2006年までが西ヶ谷隆之さんで、2007年から今シーズンまでが三浦佑介さん。このふたりが本当に優秀で、我々に技術的戦術的な部分を教えてくれています。また、トレーナーも24時間体制で派遣してもらっています。現在柏レイソルでトレーナーをそれている徳弘豊さんの会社から梶葉知宏さんという方を派遣してもらっていますが、彼は常に献身的に選手のことを考えながら仕事をしてくださっています。こういったハード面ソフト面、両面での充実が、大きく現在の状況に影響していると思います。
 それとは別に、もうひとつ生活面の改善もあると思います。朝しっかり起きて食事してという、当たり前のことではあるのですが、大学生はこれがなかなかできなかった。私自身が大学職員と監督を両立しなくてはならないということもあり、朝は6時から練習をしています。6時、8時、10時と3回に分けて、練習をするのですが、そのうち必ず1回はきちっと出て練習しなければならないという形にしています。さらに授業も100%出て、単位も100%取らないといけない。練習場にナイターがないという環境の中で、いかに強くなるかということを考えて生活面の改善をしたことが、この6年間の大きな変化だったのではないかな、と私は考えています。」

−Voice 福岡大学・乾 真寛監督
 「今日は明治大が、本当にここしかないという流れを見事につかんで点を取りました。そうしたあたりにJのチームを倒したしたたかさ、素晴らしさを感じました。ウチも前半のCKやヘディング、そして後半にもいくつかのビッグチャンスがあり、トータル的なチャンスの数は十分作れたと思います。が、今日は本当にバッドラックというか、ツキがなかった。
 私自身はJリーグがスタートして以降、ユニバーシアードの代表チームを通じて、大学のチームをもう一度復活させる、大学から日本を代表する素晴らしい選手を育てるという思いでやってきました。そんな中で今日、インカレ決勝の舞台に大学のNo.1プレーヤーを欠いた状態で戦わざるを得なかったということは、実に皮肉な運命だったと思います。ただ、J以降一時は置き去りにされていた大学サッカーが、Jのスカウトがたくさんこられるような、Jの即戦力を生み出す母体になったこと。そして流通経済大の山村(和也)くんもそうですが、若手中心とはいえA代表の選手を大学から生み出せるようになったということには大きな意義があると思います。その中で国内の大会と代表のゲームというマッチメイクの問題は残るかと思いますが……。(FWの永井謙佑が代表に)選ばれたことは光栄ですが、学生の大会なので、これを最後に終わる4年にとってベストメンバーで戦わせてあげたかった。試合が終わってみると、そのくやしさが湧き上がってきた。それが正直な感想です。
 でも今日の試合は、本当に勝負として負けました。が、1年間を通じて大学サッカーに革命を起こしてやろうという気持ちでを戦ってきました。決して永井謙佑ひとりでやってきたサッカーではなくて、トータルな力でここまでこられたと思いますし、夏総理大臣杯で初の全国制覇、そして冬もファイナリストということで胸を張ってこの2009年度のシーズンを終えたいと思います。また関東・関西の歴史のあるチームを破ってこうした場所に登場することができたということが、福岡大にとって大きな一歩だったと思います。残念ながら優勝はおあずけになりましたが、福岡大が終わるわけではありません。来年もまた、チームをここに連れてきたいと思います。そのときはぜひ、永井謙佑が出場できるように、日本サッカー協会のみなさん、お願いします。」

Q.試合前に相手をどのように分析し、どのようなプランを考えましたか?
 「明治大さんはよく中盤の両サイドが中に入ってきて、第2列の選手たちの動きが非常にマークしにくい、つかまえづらいという部分があります。そこで、その部分にはダブルボランチの末吉(隼也)、假屋(健太)に対応させたのですが、それはある程度できていたかと思います。またFWの高橋(祐太郎)をスタートから使うという選択肢もあったのですが、高橋はこの大会、途中から出て流れを大きく変えるという役割をうまくはたしてたので、その流れを変えずに後半からのスタートにしました。ふだんは出だしから永井が前に張る形になっていますが、今日は清武(功暉)でスタートしました。圧倒的なスピードで縦に割る力のある永井と清武を個人で比べてどうということではないのですが、チームとしてもう少し攻撃のパワーがあればな、という感じになったのは否めないと思います。
 前半を0−0、もしくは1−1で折り返したいと思っていましたので、そこまではプラン通り。ただ後半頭から高橋を出して、少し攻めに重心がかかったところで2点目を取られたというあたりが、今日の勝負のポイントだったかなと思います。その後、選手交代も含めて、最後の攻めるべきシフトはプラン通り全部使い切ったつもりですので、本当にあとわずか運がなかったかな、と。明治大学さんのGKのファインプレーもありましたが、ポストに当たったようなシーンもありましたので、そのあたりがひとつでも入っていれば、また流れが変わったかとも思います。そういった意味では、選手たちはやるべきことをやってくれたし、いいゲームをしてくれた。特にゲームそのものに悔いはありません。」

Q.1点を追いかけてからの攻撃の状況、前半明治大にボールを持たせての展開、後半のカウンター、そして何より精度の高いセットプレーは絶対的なトレーニングのたまものだと思うのですが、その点に関してコメントをいただけますか?
 「カウンターという言葉の表現があったのですが、今サッカーの世界ではトランディション、切り替わりという局面が非常に重要視されています。プロとアマチュア、Jと大学の何が違うかといったときに、そのトランディション――切り替わりの局面が違う。そこで今シーズン、福岡大は3秒というキーワードにこだわってきました。攻守の切り替わりの3秒間で行動を起こす、頭を切り替えるということを、大学生のレベルを超えた次元で研ぎ澄ませられるようにしてきましたし、年間を通じてかなりハードなトレーニングをやってきたつもりです。夏の総理大臣杯では特にその部分が顕著だったんですが、攻守の切り替わりの速さとそこに永井というFWがいれば、さらに縦への切り返しで抜群の速さが出る。また永井ひとりではなく、そこにふたり目、3人目、4人目という選手が、いかについていけるかということをトレーニングしてきたつもりです。もし、福岡大のサッカーをそういうふうに評価していただけるとしたら、そのトレーニングの成果なのかなと思います。
 また、日本におけるセットプレーのトレーニングは試合が近づいた、ある限られた期間だけになることが多いのですが、ウチは日々のトレーニングの中に組み込んでいました。クールダウンやウォームアップというような部分で、セットプレーのトレーニングの繰り返し回数を上げるような工夫をする。今日、藤田(直之)が最後にFKを蹴りましたが、たいていはあそこで決める必殺のFKなんです。だから今日もきたなと思ったんですが、明治大のGKのあの手が、なぜあそこに伸びたのかと(笑)。
 ただ、セットプレーに関しては前半からチャンスもありましたし、後半高橋が出てからはそのチャンスがさらに広がると思っていました。そういった意味でも、日ごろのトレーニングの工夫と選手の能力をいかに組み合わせるかという発想でやった成果が出たのかな、と思います。」

 <コメント取材協力(敬称略)>
  飯嶋玲子

 *後ほど、両チームの選手コメントを追加します。


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